Category: Reports 2021
10月23日(土) Session Mのご報告 (Report)
「国際教育交流におけるリスク・コミュニケーション」報告書 発表者 辻田歩(大学教育における「海外体験学習」研究会 運営委員) 齋藤百合子(大東文化大学 国際関係学部 特任教授・大学教育における「海外体験学習」研究会 運営委員) 大学教育における「海外体験学習」研究会(JOELN)から2名が登壇し、国際教育交流におけるリスク・コミュニケーションについて、豊富な事例を交えてご紹介いただきました。 私たちはリスク社会に生きています。危機は突如として発生するのではなく、リスクとして常に潜在していることが指摘されました。リスクは世界中に分配されると同時に、個人の生活にも重大な問題となって現れ、さらにその影響は再帰的であると表現されます。つまり、リスクは公共圏(世界・国家レベルの大きな社会)と親密圏(個人レベルの小さな社会)を循環しているのです。このように社会を正しく認識すれば、これまで主流であった有事のクライシス・コミュニケーションのみならず、平時の丁寧なリスク・コミュニケーションが重要であることは明らかです。 話題提供では、まずリスク・コミュニケーションを「各関与者が、安心と安全のために対話・共考・協働を通じて、多様な情報及び見方の共有を計り、リスクに対する行動の変容を促す相互作用」と定義し、その目的や機能が明示されました。国際教育交流には、大学、学生、保証人、受け入れ先機関に加え、旅行会社や危機管理会社など実に多様なステークホルダーが関わります。大切なのは、リスクゼロを希求するのではなく、どこまで許容するかという考え方のもとに合意形成を進めることです。そして、国際教育交流におけるリスク・コミュニケーションに関し、1) 対話によりリスクを軽減する、2) 教育的介入によりリスクを学びに転換する、という2つの可能性が示されました。前者については、安全情報の伝達・意見交換・相互理解・責務の共有が繰り返し強調され、各関与者間の取り組みについて、このポイントに照らし合わせながら具体的な提言がなされました。対話を重視するリスク・コミュニケーションは、信頼に基づく積極的なプログラム運営を可能にするだけでなく、その主役たる学生に教育的効果をもたらすと主張され、この考え方が後者に関わります。一方的な情報提供ではなく、双方向の意見交換により、学生が内発的に気づきを得て、リスクを自分ごととして捉えられるようになるでしょう。これら2つの可能性は相反するものでなく、調整的に検討されるべきものと考えられます。 最後に、感想や疑問を共有するディスカッションが展開されました。リスク社会を学びに取り入れるという発想は、参加者の目を開かせるものであったようです。しかし、日本のリスクに関する意識については、未だローカルに終始する部分が多いことや、「安全」な国であるという盲目的信頼が、リスクに向き合うハードルを高くしているとの問題点も挙げられました。リスクが万事に伴う社会で、危険に対応しつつ、学生の将来に資する機会を担保していかなければなりません。まさにリスクが顕現したコロナ禍の今こそ、あらゆるステークホルダー間のリスク・コミュニケーションにより、それを学びに転換するという教育のしなやかさを発揮する時であると感じられました。 報告者 赤尾菜々実(東洋大学 国際学部) 湊洵菜(東北大学 文学部)
10月23日(土) Session Kのご報告 (Report)
「海外体験を経験・学びに変える事前事後研修とは何か」報告書 発表者 鈴木大樹 (一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)シニア・ダイバーシティ・ファシリテーター) 辰野まどか (一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)代表理事) 2021年10月23日の開催された本セッションでは、一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)から2名の講師が登壇し、海外体験を経験・学びに変える『事前事後学習』のメカニズムについて、体験者の声も共有しながらご紹介していただきました。 まず、GiFTが様々な教育機関や自治体と実施している事前・事後学習には、事前・事後研修(1日ずつ、計2日間)のみを行うものとと、GiFTの海外プログラムとセットで、同様に2日間行うもの、という2つの実施方法があることを説明していただき、それぞれ実際に体験した学生2人の感想を聴きました。2人に共通していたことは、自分と向き合うことができること、そして、違う価値観を持った仲間ができることでした。事前学習では、世界とつながる前に自分の中にある想いや気持ちとつながることを大切にします。参加者同士のダイアログを通して自分を知り、相手を知り、プログラムを通して自分は、本当は何を手に入れたいのかを掘り下げ、そのためのマインド・セットを確立します。そして事後学習では、それぞれの国で体験してきたことや学んだこと、それを未来にどう活かすのかを仲間と共有し、次のチャレンジへとつなげていきます。 次に、上記のような事前・事後学習が成り立つことについて、GiFTが大切にしている3つの柱に関連させて発表がありました。1つ目は、自分や相手を理解し、共に創り、学びを社会に還元する、という、グローバル・シチズンシップ(地球志民)プロセスを取り入れていること。2つ目は、対話(ダイアログ)を通し、多様な価値を探求するストーリー・ベースド・ラーニングを活用していること。3つ目は、プログラムに同行するダイバーシティ・ファシリテータの役割とその育成です。これらの3つがプログラムの中で噛み合うことで、参加者が慣れ親しんだコンフォート・ゾーンから飛び出て、ラーニング・ゾーンでの学びや気持ちを言語化することを可能にします。そして、それが新たな自分自身の未来へのスタート地点になっていくのです。 このセッションを通して、事前・事後学習によってマインド・セットが作られ、プログラムでの体験が学びとして価値化されることが、地球志民としてグローバルな視点で社会を意識できる一歩になるということを深く理解することができました。海外経験の有無にかかわらず、教育の場において事前・事後学習は学生たちが自分の考えを言語化し、交換し合うことで客観的な意見も取り入れ、多様な価値観を受けれることにつながるという可能性を発見することができました。 報告者 赤尾菜々実 (東洋大学国際学部)
10月23日(土) Session Jのご報告 (Report)
「大学とパートナー団体との“外部連携”の実態と選択肢を知る」報告書 発表者 山本稚子(東洋大学 国際部国際課主任) 西島達也(株式会社JTB 教育第一事業部 営業第一課 高等教育事業担当) 藤本実千代(米国非営利教育機関 SAFスタディ・アブロード・ファウンデーション日本事務局 マネージャー) 国際教育事業における外部連携について、大学と外部団体の両立場から3名が登壇し、その実態や今後の課題をご説明いただきました。 まず、山本様からは東洋大学国際部における外部連携の事例が共有されました。派遣や受入、語学学習の様々なプログラムにおいて外部団体を活用しているそうです。コロナ禍で、複数の短期海外派遣がオンライン実施に切り替わりましたが、コストパフォーマンスの良さなどが学生から高く評価されているとのことでした。プログラム提供側はより望ましい形を模索し続けており、オンライン形式に対する学生の意識やレディネスにも変化が見られています。外部連携の主な利点としては、最新情報の入手と提供、人件費の削減、危機管理体制の強化が挙げられる一方、業務委託費の捻出や外部団体との問題が発生した場合の対応などは課題として残存していると指摘されました。続いて、JTB教育第一事業部の西島様からは、豊富な連携実績をもとにサービスの具体例が報告されました。サポート領域は拡大しており、渡航手続きに留まらず、プログラム企画・開発を担うことも多いようです。派遣先や目的については、従来は英語圏への語学留学が主流であったのに対し、近年はインターンシップやフィールドワークへの関心が高まり、ASEANへの渡航が増加していると説明されました。特に強調されたのが、JTBの留学業務総合サポートシステム「RyuGO」で、その主たる特徴は情報の一元管理にあります。これを活用し、渡航手配から現地での危機管理、学生・保護者対応業務等をワンストップで提供するケースが増えているそうです。そして、SAFの藤本様も、同じく外部団体の立場から事例を共有されました。SAFはあらゆる学生に選択肢を提供することを目指し、語学スコアが交換留学の要件に届かない層にも手厚く対応しています。国際的大学ネットワークによる名門校へのアクセスを実現し、学生のモチベーション向上に寄与するとともに、絶えずプログラムの多様化を推し進めているとのことでした。コロナ禍においても、社会の実情や学生のニーズに応じてプログラムが選抜・修正されているようです。戦略的な外部連携に向けた大学への提言としては、外部団体の得意分野を見極めたマッチングの重要性を強調しています。 最後に、参加者のディスカッションが展開されました。外部連携を最適化するには、外部団体が提供するサービスの質や相場を理解する大学の教職員が必要である一方、ジョブローテーションが浸透する日本の雇用制度では、ノウハウの蓄積が困難との問題が指摘されました。専門性を有する人材を確保するには、処遇の改善も必要と考えられます。さらに、学生の費用負担を懸念する声は根強く、外部連携にハードルを感じている大学も少なくないようでした。課題の洗い出しや費用の調整を効率的に進めるためにも、大学は派遣人数、内容、期間などを含めた具体的な目標設定をもとに外部団体とのマッチングに臨むことが求められます。大学と外部団体はパートナーであるという認識に基づき、責務を共有していく必要性を感じました。 報告者 湊洵菜(東北大学 文学部)
8月26日 (木) ・27日 (金) のご報告 (Report)
8月26日 (木) ・27日 (金) のご報告 (Report) 基調講演 Keynote Presentation 第一部 Part 1「国際教育の本質的な価値・意義を問う」Envisioning Fundamental Value of International Education もっと詳しく知る Full Details | 開催報告 Report | 参加者アンケート/Survey for Pre-Conference Event Workshop A 留学/VE/COILのアウトカムの客観的測定 Assessment of Study Abroad Programme/VE/COIL Outcome もっと詳しく知る Full Details | 開催報告 Report Workshop C 客観的測定の結果の活用:グッドプラクティスの紹介 Application of Assessment Data: Good Practice もっと詳しく知る Full Details …
8月27日(金) Session Eのご報告 (Report)
“SDGs, Strategic Planning and Sustainable Partnerships: Lesson Learned in the UMAP Consortium”のご報告 Report on Session E “SDGs, Strategic Planning and Sustainable Partnerships: Lesson Learned in the UMAP Consortium” 発表者 Speaker Chelsey Laird Director, UMAP International Secretariat, Vancouver Community College, Canada Abdul Latiff Ahmad Associate Professor, Director of UKM Global (International Relations Centre), Universiti Kebangsaan Malaysia …
8月27日(金) Session Gのご報告 (Report)
“International Education: Why Globally Minded Japanese Students Don’t Choose Japanese Universities”のご報告 Report on Session G “International Education: Why Globally Minded Japanese Students Don’t Choose Japanese Universities” 発表者 Speaker Rab Paterson Center for Global Education & Exchange, Toyo University Mayuko Kubo Undergraduate student at the Faculty of Arts and Social Sciences, University of Sydney Tohi Kim …
8月26日(木) Workshop Bのご報告 (Report)
“Developing Intercultural Competence Using UNESCO Story Circles”のご報告 発表者 Speaker Darla Deardorff (Duke University) SIIEJ 2021 Workshop: Developing Intercultural Competence Using Story Circles was successfully held on August 26th, 2021, hosted by Dr. Darla Deardoff from Duke University. The workshop consisted of a 30-minute keynote presentation about the UNESCO Story Circles, followed by a group demonstration …
8月27日(金) Session Hのご報告 (Report)
“Fostering and Developing the Next Generation of Entrepreneurs in the ‘Post-Covid’ Context”のご報告 Report on Session H “Fostering and Developing the Next Generation of Entrepreneurs in the ‘Post-Covid’ Context” 発表者 Speaker Steve Sakanashi Joshua Flannery Daniel Smith Time and again, innovation and creativity have inspired us into trying to develop a better world. Even during present …
8月27日(金) Session Fのご報告 (Report)
“Envision, Design, Invent: Alternatives and Preferred Futures of Global Experiences in 2050”のご報告 Report on Session F “Envision, Design, Invent: Alternatives and Preferred Futures of Global Experiences in 2050” 発表者 Speaker Brian Masshardt (Musashi University) What would life be in 2050? What would the cities we live in look like in the future? Would we be …
8月26日(木) 基調講演(第二部)のご報告 (Report)
8月26日(木)基調講演(第二部)“Internationalization in Higher Education for Society”報告書 Report on SIIEJ Keynote Presentation Part 2 “Internationalization in Higher Education for Society” 発表者 Speakers Elspeth Jones (Leeds Beckett University, UK) Jeremy Breaden (Monash University, Australia) The second part of the keynote session consisted of two lectures, followed by Q&As and discussions among participants. First, Dr. Elspeth Jones, an …
