留学生のための性教育~ライフプランを考える
Date/Time: 8月8日 (木) Thu, Aug 8 (09:00-10:20)実施方法 Method of Presentation: 対面 / Face to face
Language: 日本語 Japanese
Pre-assignment: なし / None
備考/Remarks: なし / None
Abstract 概要
(背景)
現在の「留学」在留資格者数は30万人に達し、約半数が女性で、そのほとんどが15歳から49歳の生殖年齢期で、日本滞在中に妊娠・出産する可能性がある。留学生が予定外の妊娠をした場合、学校を休みがちになったり、出産のために留学を中断して帰国せざるを得なくなったりすることがある。休学できてもアルバイトができなくなったり、奨学金の給付を休止されたりと、経済的にも精神的にも追い詰められる。留学生らが妊娠によって窮地に追い込まれてしまうのは、出身国と日本では、避妊法や中絶法などリプロダクティブ・ヘルス・サービスや出産や育児を支援する制度が異なること、また、来日後に必要なサービスにアクセスできていないためと考えられる。留学生受け入れ校の教職員は、生活や人間関係の相談も受けやすい立場にあるため、正しい情報の提供ができれば、留学生もライフプランを考えて予定外の妊娠を防ぎ、日本での学修を満了できると考えられる。
(セッションの構成)
本セッションでは、模擬講義とケーススタディを行う。まず、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights: SRHR)の概念を確認し、日本ではSRHRが十分に普及していないために、留学生であっても、他国ではさほど問題にならない妊娠・出産によって困難に直面する現状について報告する。発表者研究グループは、留学生にとって必要な情報を提供する性教育教材を制作しており、その内容は、4つのパートで構成され、①妊娠葛藤期②避妊・中絶のルール ③出産と育児④相談窓口と各国語啓発動画などの情報を含む。学習者は、避妊、中絶、出産の3つの事例をもとに話し合うことで、内容を理解し、授業後にはライフプランを考えてリスクを回避する行動ができるようになることを目指す。本講義では、本教材を使用しながら、留学生が就学を満了するために知っておくべき日本の避妊・中絶の選択肢、注意すべき薬機法、子どもの在留資格、出産・育児の際に利用できる制度やサービス、各種保険と休業補償の条件などの必要情報を紹介する。ケーススタディでは、小グループごとに留学生の妊娠事例について話し合い、彼女らを取り巻く状況の問題点と相談されたらどう行動すべきかについてディスカッションし、適切な対応方法を考える。最後にグループごとに出された意見や感想の発表と教材へのフィードバックを行う。
Speakers 発表者:
高向 有理 Yuri TAKAMUKU西日本短期大学ビジネス法学科 教授
Professor, Department of Business Law, Nishi-Nippon Junior College