派遣留学生の帰国後のケアとキャリア形成のためのフォローアップ
Date/Time: 8月8日 (木) Thu, Aug 8 (09:00-10:20)実施方法 Method of Presentation: 対面 / Face to face
Language: 日本語 Japanese
Pre-assignment: なし / None
備考/Remarks: 留学生の「送り出し」業務や、派遣留学生対象のアドバイジング・カウンセリングなどにかかわったことのある方が望ましいと考えます。ただし、これから担当する予定の方や、担当したいと希望している方ももちろん受け入れます。そのほか、海外留学経験のある方の参加も歓迎します。
Abstract 概要
日本で2020年初頭から始まった新型コロナウイルス感染症の流行は、日本から海外に留学する学生の数にも大きな影響を与えました。それから4年ほどが経過してパンデミックが落ち着いた今、一時は大幅な減少を見せていた日本からの派遣留学生の数に回復の兆しがみえてきました。昨年は、岸田政権が2033年までの目標として、日本人留学生を50万人送り出すことを表明しています。こうした政策の後押しを受けて、留学生の数が増えていけば、その留学の質も担保していくことが求められるようになるでしょう。
こうした状況において、日本の大学等で留学生の送り出しを担当する私たちは、留学の量だけでなく質も高めるために、何にどう取り組んでいったらよいのでしょうか。本セッションを担当する私たちは、派遣留学の質を高めるための研究にこれまで取り組んできました。具体的には、留学前から帰国後に至るまで派遣留学生を一貫して支援するための教育的トータルサポートプログラムを開発し実践することを試みてきました。
本セッションでは、私たちの一連の研究の中から、海外留学を終えて帰国した学生に対するフォローアップに焦点を当てます。海外留学のスタートアップ(つまり、海外留学前の準備教育)については各大学等で留学説明会・オリエンテーションや語学学習など、行き届いた対応がされています。これに対して、海外留学のフォローアップ(つまり、帰国後のケアとキャリア形成の支援)に関しては、研究の蓄積が比較的少なく、教育的サポートのバリエーションも開発途上にあることが指摘できます。しかし海外留学の成果は、フォローアップによってさらに確実なものとすることができ、次のキャリアに着実に展開させていくことも可能になります。例えば、帰国後に留学経験を言語化することにより、自分が留学で何を体験したり学んだりしたのかを明確に理解できるようになります。さらに、留学経験者同士で集うことで、心情共有による安堵感と留学経験への気づきが得られ、次のキャリアへの行動化が促進されるといった、情緒・認知・行動の3側面にわたる効果も得られます。すなわち、留学には「予習」だけでなく、「復習」も欠かせないということです。
このセッションでは、これまでの私たちの「ポスト留学」に関する教育実践について、これまでの研究の動向を踏まえながら報告します。また、発表者が2022年度から担当している講義「海外留学フォローアップ演習」についても、受講した学生の反応を含めて概要を紹介します。参加者のみなさまとは、それぞれのご所属先における「ポスト留学」のケアやキャリア形成に関する取り組みについて、情報交換や意見の共有を行い、その課題について掘り下げていきます。これにより、海外留学の「質」を保証するための、新しいアイデアや戦略を生み出すための機会を提供したいと考えています。
Speakers 発表者:
髙濵 愛 Ai TAKAHAMA昭和女子大学全学共通教育センター 非常勤講師
Part-time Lecturer, University-wide Common Education Center, Showa Women's University
田中 共子 Tomoko TANAKA
岡山大学大学院社会文化科学学域 教授
Professor, Graduate School of Humanities and Social Sciences, Okayama University