Session 1


激変する日本語教育の最新事情と日本語学校からの大学進学

Date/Time: 7月20日 (木) Thu, Jul 20 (09:00-10:20)
実施方法 Method of Presentation: 対面 / Face to face
Language: 日本語 Japanese
Pre-assignment:
備考/Remarks:


Abstract 概要

大学における留学生受入れの経路として、日本語学校は欠かせない存在となっている。1983年から始まった留学生10万人計画、それに続く30万人計画で、政府は海外から日本の大学等に直接入学する「渡日前入学許可」を積極的に進めようとしたが、40年を経た現在においても、留学生受入れのメインストリームは日本語学校経由となっている。

一方では、国内の少子高齢化の進展により、外国人労働者の受入れが避けられない状況であると認識されるようになり、外国人が日本で住居し労働するための必須要件として、日本語教育が注目されることとなった。2016年には『日本語教育推進議員連盟』が結成され、2019年には『日本語教育の推進に関する法律』(日本語教育推進法)が成立する。そして現在、2023年度の国会では、その具体的実施法案となる「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律案」が審議されている最中である。これは日本語教育の類型化(留学、就労、生活)と文部科学大臣による日本語学校の認定制度、および日本語教員の国家資格化を柱とするもので、日本語教育を国家施策として位置づけ、本格的に多文化共生社会への端緒を開くものであるといえよう。同時にCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠Common European Framework of Reference for Languages)に準じた『日本語教育参照枠』により、日本語能力の統一的な指標を策定するという作業が進んでいる。このような日本語学校、日本語教育を取り巻く根本的な状況変化は、主として日本語学校経由で留学生を受け入れてきた大学等にとっても無関心でいることはできないであろう。

当セッションでは、こうした日本語教育の社会的変遷についてアジア学生文化協会の白石勝己氏に、実際の日本語教育改革の内容について、日本全国の日本語学校を取りまとめ、日本語教育推進議員連盟や、日本語政策の方針を策定する文化庁との折衝を行ってきた日本語教育機関団体連絡協議会事務局の谷一郎氏(与野学院日本語学校校長)に、解説をおこなっていただく機会を設ける。また、さらに外国人留学生の入学・進学の進路についての研究分析を行っている東洋大学国際教育センター講師、二子石優氏に今回の日本語学校改革の影響がどのように留学生の大学進学に影響を与えうるか、大学は日本語学校との連携をどのように構築できるか、についてもお話しいただき、当セッション参加者との議論を深めたいと考えている。日本語教育および留学生募集などに関心ある方も、奮ってご参加いただきたい。



Speakers 発表者:

白石 勝己 Katsumi SHIRAISHI
公益財団法人アジア学生文化協会 理事長
Director-General, The Asian Students Cultural Association
谷 一郎 Ichiro TANI
日本語学校ネットワーク 副代表理事、与野学院日本語学校 校長
Deputy Representative Director, Nihongo Gakko Network / Principal, Yono-gakuin Japanese Language School
二子石 優 Yu FUTAGOISHI
東洋大学国際教育センター 講師
Lecturer, Center for Global Education and Exchange, Toyo University