10月23日(土) Session Lのご報告 (Report)

「留学生就職支援における新しい展開と価値の創造―東洋大学におけるオンラインプログラムの事例から」報告書

発表者
髙橋一男(東洋大学副学長 国際教育センター長 国際地域学部教授)
牛窪隆太(東洋大学国際教育センター准教授)
陳秀茵 (東洋大学国際教育センター講師)
黄貞淵 (東洋大学国際教育センター助教)
山田達也(株式会社イートラスト)

本セッションでは、東洋大学における留学生の就職支援のための制度設計、オンライン・ビジネス日本語教育プログラムと教材開発の意義、オンラインで実施された地方企業へのインターンシップ・プログラムの事例について、制度設計者とプログラム実践者の立場から発題があり、参加者との質疑応答が行われました。

初めに髙橋講師より、留学生Iターン就職促進プログラムについて説明がありました。東洋大学では、留学生国内就職率の目標値を60%と定め、ビジネス日本語教育、キャリア教育、東京・地方へのインターンシップと主に3つの取り組みがなされています。

次に牛窪講師より、ビジネス日本語ポイント講座について紹介がありました。従来の講座は、学内の留学生・近隣の外国人会社員が対象でしたが、オンライン開催に際して国外にも開講したところ、過去3回の実施で47カ国から延べ64,804名が参加したとのことです。国内外を問わないビジネス日本語の重要性とともに、オリジナル教材の開発や企業・職場理解の講座の開設など、今後の可能性についても言及されました。

続いて陳講師より、ビジネス日本語教育に向けたテスト問題作成と教材開発について発表がありました。ビジネス日本語における言語知識の獲得・動機付けの難しさが指摘され、教育上の取り組みとして、日本語学習者が関心を持つ要素を取り入れたオリジナル模擬問題、ビデオ教材の作成について紹介がありました。

その後、黄講師よりオンライン・インターンシップの事例について紹介がありました。2020年から課題解決型9日間のオンライン・インターンシップを実施し、留学生・企業共に好評を得たとのことです。事例を踏まえ、日本語力やアイディアなど留学生の自己PRに繋がるプログラムの開発や、学内の高度外国人材情報を企業と共有することで採用の可能性を向上させる等、今後の展開についても言及がありました。

最後に山田講師より、企業の立場から留学生のインターンシップ参加の事例が紹介されました。オンライン・インターンシップは、海外での販売計画をテーマに実施されましたが、その後、インターンシップに参加した留学生が、「作成した販売計画を実現させたい」と就職面接に挑み、本採用に結びついたという例が示されました。

報告者
成毛 楓(東洋大学国際学部)