11月20日(土) Workshop Iのご報告 (Report)

「内なる多様性に気づき慈しむ体験型ワークショップ」報告書

発表者
平井達也 (立命館アジア太平洋大学 教育開発・学修支援センター 教授)
高木ひとみ (名古屋大学 国際教育交流センター 特任准教授)

 2021年11月20日に開催された本ワークショップでは、体験型ワークを通して、自分の中にある様々な気持ちや思い(=内的多様性)に気づき、それらと調和的な関係を結ぶ方法についてご紹介していただきました。

 内的多様性を知るためには、「今、この瞬間」のありのままの自分を様々な感情とともに観るマインドフルネス、自分自身に思いやりを持って接するセルフ・コンパッション、内なる自分と関係を作るフォーカシング、という3つのアプローチがあることを教えていただきました。これらのアプローチが、自分の内面に存在するあらゆる気持ちや思いと繋がっていくプロセスになります。

 次にこれらのアプローチを活用し、実際に参加者全員で内的多様性を探索するために3種類のワークが行われました。最初に行ったワークでは、8つの心情表現から最も惹かれる言葉を1つ選び、その言葉から気分・場所・景色・姿を連想しました。次のイメージワークでは、自分にとって愛情深い存在を浮かべ、その存在はどんな雰囲気なのか、自分にとってどんな存在なのか、自分にどのようなメッセージを伝えたいのかなどを約15分かけて想像しました。2つのワークが終了後、3人のグループに分かれて感想を共有し合いました。一人一人が全く異なった心情を持っていたことが分かり、自分にはなかった「感じ」を聞くことの面白さがありました。

 最後のワークでは、自分の中にある様々な気持ちや思いを、好きな色を使いながら描画で表現し、グループで共有し合いました。このワークにおいても色の使い方や描いているモノ、その絵を描いた理由など、それぞれの個性が感じられました。

 参加者からは、内にある気持ちや思いを深い部分まで向き合うことで、なにがあっても自分を広い心で受け止めても良いということに気づけたという声があり、自分に対して寛容な気持ちを持てる機会になったように思えました。私もこのワークショップを通じ、その時だけに感じた突発的な気持ちだけではなく、長い時間をかけて内面にある気持ちに向き合うことで、「私」が持っている多様性について、理解を深めることができました。また同時に、内的な気持ちに向き合い慣れていないからこそ、真の自分の心情を探索することの難しさも実感しました。自分の内側にある良い感情も悪い感情も、全て合わせて「私」であることを認め、自分自身を十分に尊重することが、他者への共感や思いやりを深めるプロセスになるということを体験的に学ぶことができました。自分の内的多様性について興味深く向き合えた時間となりました。この学びを今後においても意識していきたいです。貴重なお時間ありがとうございました。

報告者
赤尾菜々実(東洋大学国際学部)