8月27日(金) Workshop Dのご報告 (Report)

「外国学歴評価の手法『中国の学歴・資格評価の実践と課題』」報告書

発表者
白石勝己(公益財団法人アジア学生文化協会)
翁 文静(九州大学, アドミッションセンター)
李 明(大阪大学 グローバルイニシアティブ機構)
星明廣(公益財団法人アジア学生文化協会 国際教育支援事業部)

 8月27日に開催されたワークショップDでは、まず前半に「外国学歴評価の手法:中国の学歴・資格評価の実践及び課題」をテーマとした講師陣によるプレゼンテーションが行われ、後半では参加者が実際に学歴の模擬判定作業に取り組みました。
 始めに白石勝己講師が本ワークショップの概要をご説明された後、翁文静講師が『中国の高等教育の概要とデジタル証明書の現状』について発表をされました。翁講師は、まず中国の学校教育制度及び高等教育の概要を紹介され、中国における大学及び大学院入試がどのようなものであるかを詳説されました。続いて、日本の教育機関向けに学歴・学位証書の認証サービスを提供している中国の機関を紹介され、それらの機関が発行するデジタル証明書等が日本の一部の大学・大学院の願書受付過程においてどのように利用されているかについて具体例を交えて説明されました。
 その後、李明講師が、大阪大学における大学院入試改革事例を中心に、『中国人留学生の大学院入試における学歴資格評価の実践』に関する発表をされました。李講師はまず大学院レベルの留学生の受け入れに関わる大学側の問題点及び留学生側の問題点を指摘され、それらを解決するために大阪大学内に設置された「龍門窓口」の概要と具体的にどのような支援が教員や学生になされているのかについてご紹介下さいました。そして、龍門窓口が設置されたことにより期待される効果や課題についても述べられました。
 休憩を挟んだ後半には、まず白石講師が実務として外国学歴・入学資格の判定の際に確認されている点や入学資格の判定・学修歴の認証が必要な理由、日本における大学入学資格の原則等について概括されました。続いて星明廣講師が『中等教育課程の学歴判定の考え方と手順』と題し、留学生の日本の大学入学資格の判定時に根拠となる法律や条文、施行規則、志願者が履修した課程の属性を調べる際の留意点等をご紹介下さいました。その後、星講師より参加者に、中国出身の志願者から提出されたものを模した卒業(見込み)証明書や成績証明書が配布され、参加者は小グループに分かれ、学歴・入学資格判定作業を実際に体験しました。星講師よりご教授いただいた留意点等を踏まえ、判定のために更に何を調べていく必要があるのかという点を話し合うことで、参加者が判定作業の複雑なプロセスへの理解を深めるワークショップとなりました。

報告者
T. K. (東洋大学)